月神たちが第二幕を振り返り、反省座談会を行いました。
【チーム壱 参加メンバー】
霜月・皐月・卯月・水無月・如月・弥生
ご主人様のご意向により、弥生がこちらのチームに参加しています!
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ご理解・ご協力をお願い申し上げます。
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現鑑 反省座談会
〜チーム壱(霜月・皐月・卯月・水無月・如月・弥生)編〜

如月
「飲み物数足りてるー全員分あるー?」
霜月
「足りているが、弥生がまだ来ていない。
……弥生はこちらの組になったのだな」
卯月
「主が選んだ組み合わせなんだから、これでいいだろう」
皐月
「おかげでこっちのチーム、
裏で『チーム猥談』って言われてるみたいだけどね」
水無月
「自覚があるなら余計なこと言わずに口噤んどきな。
……如月、この和室何時まで借りてるんだい?」
如月
「午後いっぱい。でもご主人様が4時には帰ってくるからね。
それまでに終わらせないと」
皐月
「……よくまあ公民館なんて借りられたもんだなあ」
如月
「割と大丈夫だよ。簡単に貸してくれたよ。
普段は盆踊りの練習とかに使ってる部屋なんだけど、
今の時期は全然空いてるんだってさ」
水無月
「えーと……卯月、お茶これでいいかい?」
卯月
「そのペットボトルは……?」
霜月
「すと……れーと……ティー。紅茶か」
卯月
「……緑茶にしてくれ。ペットボトルの紅茶は甘くて苦手だ」
皐月
「卯月、甘いお茶まだ駄目なんだ?
まー生まれた時代的に仕方ないけどね。」
霜月
「……生まれた時代的に、と言うが、
そなたこそ最古参組だろうに」
皐月
「俺はほら、仏生会で甘茶とか飲んでたから」
水無月
「仏生会ってあれかい、源氏物語とかにでてくる。
……あんたってこう見えて、相当古い生まれなんだよねえ……」
如月
「皐月は師走に次いで二番目に古参だからね。
更にその次の僕以降は、ほとんど団子状になってるけど」
水無月
「その割に喋り方がチャラいというかなんというか」
卯月
「皐月は、最初に会った頃はこんな感じじゃなかったと思う」
皐月
「そりゃ時代にあわせて変わらないとね。
女の子に引かれちゃうでしょ」
霜月
「……逆に潮流に乗りすぎると、軽佻浮薄と思われることもあろう。
その辺の見極めが肝心だと思うがな」
如月
「霜月が言うと含蓄あるね。
……それにしても弥生遅いな。どうしたんだろ」
水無月
「ったく、集合時間くらいは守って欲しいもんだね。
それとも、どっか寄ってるのかい?」
如月
「お茶菓子頼んだんだよ。コンビニ行ったはずなんだけど。
梅系のあったかなあ」
皐月
「如月は生きてる時別にそんな梅好きじゃなかったよね?
なんでそうなったわけ?」
如月
「ほら僕、梅に縁があるって思われてるから、
お供え物が梅やそれにまつわるものとかが多いんだよ。
最初はスルーしてたんだけど、散々持ってこられたから
なんかいつの間にか好きになってた」
霜月
「……それは洗脳の一種ではないのか?」
バタバタバタ……
卯月
「……足音だ。誰か来る」
水無月
「噂をすれば弥生かね?」
ガラッ
弥生
「悪い、いいのがなくてコンビニハシゴしちまった。
もう始めてるか?」
如月
「ああ、おかえり。まだだよー大丈夫」
弥生
「そりゃ助かった。あー、水無月そのペットボトル余ってんならくれ。
走って喉渇いた」
水無月
「もう紅茶しか残ってないよ。ほら」
如月
「さて、それじゃあ全員揃ったので、
反省会を始めたいと思います。
みなさんよろしくお願いしまーす」
パチパチパチ……
如月
「……と言っても、あんまり反省することもないんだよね。
言いたいことは本編で言ったしさあ」
水無月
「本編終了後、毎回一応月神会議で反省会やってたから
今更感があるのは確かだね」
べりっ。……バラバラバラ……
霜月
「だから、五・六ノ巻の反省をするという趣向なのだろう。
……卯月、力を入れ過ぎだ。菓子が飛び散っている」
卯月
「……すまん。どうも俺は、『ぱーてぃ開け』が苦手だ……
畳に落ちた分はどうすればいい?」
弥生
「別に畳に落ちたポテチ食ったって腹壊さねえだろ。俺が食うからそこ置いとけ。
後半2つの反省って、なんだよ、また俺の話か。
デートがどうこう言うなら睦月だってやってんだろが」
如月
「そうなんだけど、あれ言うなれば社会科見学だったから」
水無月
「ああ、確かに」
皐月
「濡れ場の「ぬ」の字もなかったなあ」
霜月
「あの男にはあのくらいでちょうどいい。甘やかすと図に乗る」
如月
「その分霜月がアピールしてたしね」
卯月
「……水無月の着物を着ていた件か?」
霜月
「……どこから何を反論すれば良いのかわからんが、どういう意味だ、如月。
それから卯月、なぜ水無月の着物を着ることが『あぴーる』になる……?」
弥生
「水無月は着物のセンスはいいよな。こう、派手派手しくて目え引いてよ」
水無月
「だろう? あの時霜月に貸した芍薬と髑髏(どくろ)の柄の着物は
私も気に入ってるんだよ。色が良くてねえ」
皐月
「……ああ、弥生はあれをセンス良いって言っちゃうんだ……」
卯月
「ガイコツ柄の打掛だったな。俺は初めて見た」
霜月
「私もだ。……借りておいてなんだが、その、ちょっと……」
如月
「髑髏柄に対する感想がバラバラなのは、生きた時代の違いだよ。
江戸以降、髑髏や蜘蛛、蝙蝠みたいな柄の着物が流行ったんだ。
怖いものを身につけることで、逆に魔を払って縁起がいいってね」
皐月
「へえ……時代が変われば何とやら、だね。
じゃなくて、霜月も他の奴に服借りれば良かったのに。
水無月に借りるからあんなことに……」
ガッ
皐月
「ぁだっ!!」
水無月
「何か言ったかい?」
弥生
「すげえ、今の一閃目に見えなかった」
卯月
「あれが天分か。俺もそうなりたい」
如月
「卯月は充分強いから、これ以上を求めなくてもいいんじゃないかな。
今のままで問題ないと思うよ」
卯月
「だが、剣ももっと強くなりたいし、現代のこともたくさん知りたい。
あと運転免許もとりたい」
水無月
「運転免許!? い、いやーそれはちょっと難しいんじゃないかねえ?」
霜月
「なぜそんなことを言い出した? 弥生の『どらいぶ』の件か」
卯月
「そうだ。俺もくるまに乗ってみたい」
皐月
「あ……あいたたた……ちょっとさあ……ほんと手加減してよ……
どっかの神話の神様じゃないんだから、俺の頭割っても何も生まれないよ?」
水無月
「おや復活が随分早いね。手ぬるかったかね」
皐月
「ぬるくないから。卯月の話しようよ……車がなんだって?」
卯月
「あいつを乗せてみたいのもあるし、海に行って観覧車に乗ってみたいのもある。
船が見えるんだろう? 面白そうだ」
弥生
「観覧車乗るだけなら今度連れてってやるぜ?
夜でも昼でも、水平線がくっきり見えて気分いいぞ」
如月
「……ほんと美味しいシチュエーションだったよね、あれ。
ずるいなあ弥生……
まぁそれでご主人様を無事に帰したのは偉いかもだけど」
弥生
「だよなあ、俺の忍耐ってすげえよな。
普通は一晩帰さねえよな?」
霜月
「……正直なところ、夜の浜を見に行っただけで家に戻ったと聞いて
弥生は具合でも悪かったのか、とは思ったが」
皐月
「基本は最短で朝まで、長かったら逃避行コースだよね」
水無月
「そこ3人、何共感してんのさ。まとめて脳天かち割るよ」
如月
「皐月はもう割られたけどねー
水無月にもだけど、この間は葉月にも」
皐月
「……あー、二ノ巻のあと葉月にね。
何アレ、鬼神なの? 悪魔なの? 超怖かったんですけど」
卯月
「鬼神と称されたこともある。
葉月は戦では、俺以外に並ぶ者なしの武者だった。
あいつは七つ道具を持っていて、それで有名で……えーと……
……金棒と……? ……? まさかり……?
包丁……? 串?」
霜月
「……包丁と串では料理が始まりそうだな」
水無月
「あんた主なんだから、
部下の七つ道具くらい見知っておいてやんなさいよ……」
如月
「薙刀、鉄熊手、大槌、大のこぎり、刺又、袖絡(そでがらめ)、突棒(つくぼう)、だね。
よくあれだけ背負って歩けるよ」
水無月
「おや凄いね。それほとんど鉄でできてるんだろう?
馬鹿力の文月ならまだしも」
卯月
「……そう言えば水無月は、文月と一緒に山に行ったんだな」
水無月
「結構前だけどね。何、あんたも行きたい?」
霜月
「……弥生といい水無月といい、
あまり独断で主の娘を連れて遠出しないで欲しいんだが」
弥生
「霜月、なんだ妬いてんのか? 珍しいな」
霜月
「違う。私は別段、主の娘を独占したいという意志はない。
だが、私の式が困る。
……軽い気持ちで、主の娘の帰りが遅いから探してくれと言ったら
行き場所が山だったり海だったりするから、さすがに……」
水無月
「蛙で良く山まで登って来たよねえ……」
如月
「霜月は一時期鳥を式にするって言ってたけど、やめたの?」
霜月
「……式に、抗議されて……」
如月
「抗議?」
卯月
「俺はその現場を見かけたと思う。
霜月に向かって蛙が必死に何かを訴えていた」
霜月
「……自分がいるのに、鳥の式などいるのかと……
……こちらとしては、悪気はなかったんだが
最後は泣き落としまでされて」
弥生
「泣き落としって、おい」
皐月
「蛙って泣けんの!?」
弥生
「……ご主人の泣き落としならともかく、
蛙の泣き落としって見たかねえなぁ……」
皐月
「蛙だしねえ……」
霜月
「……一応、私の式は変化できるが。
人の姿もとれと言えばとれる」
如月・弥生・皐月・水無月
「「「えっ」」」
如月
「人の姿って、霜月みたいな?」
霜月
「特に誰というわけではないが、基本、誰にでもなれるな。
ただ人の姿になると、たとえば歩けなくなるとか
言葉が話せなくなるとか、色々不自由が出てしまう。
獣は完璧な人に化けることはできない。だからほとんどさせてはいない」
卯月
「あっ、この間そういう本を見た。
人魚が脚を得ると言葉を失うんだ」
水無月
「ていうか蛙が言葉話せないのはもともとだよね?」
皐月
「はー……霜月の蛙にそんな機能があったとは……
そういや睦月がなんかした時の後片付け、霜月の蛙がやってたもんな。
蛙の姿のままじゃできるわけないか」
弥生
「なんつーか、便利なもんだなあ……
……ん? ちょっと待てよ、どんな姿でもなれるのか?」
霜月
「私が一度目にした相手なら」
弥生
「ってことは、ご主人の姿恰好にさせれば……」
皐月
「うわ……霜月やりたい放題だね……」
霜月
「……そなたら……」
弥生
「だってそれなら(――規制削除――)も(――規制削除――)も
なんでもありってことだろ?」
皐月
「言うこと聞くよね、自分の式だし。
つーかご主人様にご主人様って言われちゃうわけか」
弥生
「それでうまく歩けなかったりするんだよな?
想像すると色々……」
皐月
「うわあ……霜月って……」
水無月
「……あんたたちね、いい加減に」
スパーン。
水無月
「え、何!?」
霜月
「誰だ、襖を開けたのは……ん?」
ギュガッ!!
弥生
「ぬぁっ!?」
皐月
「は? 何その……」
ドスッ!!
皐月
「っ……!!!」
葉月
「卯月に薄汚い妄想を聞かせているのはこのゴミ2人ですか?」
如月
「あれ、葉月」
卯月
「……葉月。おまえ、何をしている」
葉月
「こちらの話の成り行きを盗聴器で伺っておりました。
卯月が私の七つ道具をすっかり忘れていらっしゃったのは
悲しゅうございますが、すぐにお目にかける機会が生じて幸いです。
これで思い出していただけるでしょう」
霜月
「とうちょうき?」
弥生
「葉月、てめえ降ろせ……!」
ジタバタジタバタ
弥生
「あだっ! くっそなんだこれ、先に返しがついてやがる……!」
皐月
「こ、こっちも、半端なく苦しいん、です、けど……」
葉月
「弥生に使用しているのが袖絡。本来こうして相手を持ち上げ天井に押し付けるような
使い方はしませんが、屋内ですのでこれも有効です。
皐月に使用してるのが刺又。このように……」
皐月
「だっ……!!!」
葉月
「地面が柔らかい畳などの場合、
押さえつけすぎると相手の肋骨などが折れますので要注意です」
水無月
「……あんた馬鹿力だねえ……」
如月
「乱入アリって言った覚えはないんだけどなあ……」
霜月
「……チーム弐の方は何をやっているんだ。
向こうは向こうで、反省座談会をしていたのではなかったのか」
如月
「どうなんだろう? ……ちょっと様子を見に行って見ようか」
水無月
「同じフロアにいるんだっけ? あっちも和室なのかね」
卯月
「……葉月」
葉月
「はい、なんでしょう」
卯月
「気が済んだら戻って来い」
皐月
「止めろよ卯月!!」
卯月
「皐月と弥生の件は俺もそれなりに腹が立っていた。
今も納得はいっていない。
だから多少は葉月の暴挙も許そうと思う」
水無月
「……葉月の気が済むまでってどのくらいかね」
霜月
「……そこの2人。早めに札に戻った方が良さそうだぞ」
弥生
「阿呆、土壇場でケツまくってどうすんだ。つまんねーだろ!
けど一方的にやられんのは性に合わねえ、あーくそっ、このっ」
じたばたじたばた
皐月
「ど、どうやって、この状態で札に戻るために意識集中しろって……
あいたたたたちょ、マジで肋骨折れるって……!」
葉月
「皐月と弥生は主に対する心のありようにいささか問題があると思っておりました。
同じ月神、同じしもべだからこそ奴隷精神を叩きこむ良い機会でしょう。
では――――」
チャキ……
皐月
「まさかり!? ちょっと待ってそれ食らったら致命傷……
弓貸して弓!!」
弥生
「おい、こら……! くっそ俺にもなんか武器寄越せ!
せっかくだから降ろしてやりあえ!」
水無月
「あーあ……」
如月
「……畳、汚さないでね」
【チーム壱・幕】
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(C)MARINE ENTERTAINMENT
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